もう、あの人は任務を終えて、家に帰っているだろうか?
 ・・・電話しても大丈夫だろうか?
 確か、今回の任務は三日で終わるといっていた。今日はあの人が任務に出かけて四日目。
 一日たったことだし、報告をボスにして、家に戻っている筈だ。
 よし、電話しよう!
 プルルル…プルルル…
 呼び出し音が長い。いないのかな?
 ガチャッ
 あ、出た。
 「もしもし、スクアーロさん?」
 「か。」
 「うん。任務は終わった?」
 「あぁ。昨日に終わったぞぉ」
 「怪我…してないよね?」
 この質問は、いつもする。私は、ヴァリアーの医療専門官だからだ。
 ヴァリアーは殺しの天才の集団といわれているのだし、医療専門官はいらないということで(実際、今でも私以外の医療専門官は居ない)、
 そんな役職は無かったのだが、今のボスーXANXUS様が、何故かは知らないが、この役職を作られたのである。
 それで私は、XANXUS様にボンゴレの医療班から、ヴァリアーの医療専門官に職を移されたのである。
 「してるわきゃねぇぞぉ。あんな雑魚共に、怪我なんかしねぇ」
 良かった、と私は返事を返す。
 ヴァリアーの人達は、やっぱり殺しの天才の集団だから、滅多に医療室には来ない。
 たまに来る人もいるが、それは下っ端の人達だし、幹部の人達も、たいていは学校の保健室でも間に合いそうな怪我だ。
 「それで、何か用かぁ?」
 「そうそう、用があるんだった。明日、ヒマ?」
 「特に用事はないが…何だぁ?」
 「あのね、美味しいケーキ屋がある、って聞いたから行こうと思うんだけど、一緒に行かない?あ、ケーキ代ならおごるよ」
 「おごりかぁ?なら行ってやるかぁ。」
 「やったー!じゃあ、明日の十時、碧公園で待ってるねー」
 「分かった」
 じゃあまた明日ね、と言ってから、電話を切った。友達の話では、もう感動して涙がでるくらい美味しいらしい。
 特にミルフィーユが美味しい、とも言っていたな。明日はミルフィーユを食べよう、と 思いながら、横になった。
 〜翌日〜
 約束していた十時より、三十分も早く碧公園についてしまった。何が原因といえば、思ったより早く駅について、一本前の特急に乗ったからだ。
 特急とはいえ、まさかこんなに早く着くとは。
 (スクアーロさんも、まだ来てないだろうなぁ)
 と、辺りを見回してみる。
 「う゛お゛ぉい!」
 「はいっ!?」
 突然後ろから声をかけられる。驚いて、裏返った声で叫んでしまった。
 「…そんなに驚かなくてもいいだろうがぁ」
 「いや、まさか三十分前にはいないだろうと…早いですね」
 「それはもだろぉ。オレは一本早い電車に乗っちまっただけだぁ」
 「私も同じ理由ですよ。ひょっとして同じ電車に乗ってたんですかね?」
 「そうかもしれねぇなぁ。ま、そのケーキ屋に行くぞぉ」
 そういって、彼はスタスタと歩き出してしまう。
 しかも、ケーキ屋とは逆の方向に。
 「待って下さいー!!そっちじゃないですー!!」
 慌てて止めて、二人で歩き始めた。
 「ふわぁ〜キレイ!キレイですっ!美味しそうです!」
 「確かに綺麗だが…そこまで騒ぐな、周りから白い目で見られってぞぉ」
 「…ごめんなさい…スクアーロさんは何にするんですかぁ?」
 「ん…じゃあこの苺の…」
 「ショートケーキですね!店員さん!ミルフィーユとショートケーキ一個ずつ下さい!」
 パクリ。
 「くぅ〜っ本当です!本当にこのミルフィーユ感動しますっ!」
 「涙目になってぞぉ…そんなに感動するのかぁ?」
 「スクアーロさんも絶対感動しますって!食べてみてください!」
 はい、と言ってはオレにミルフィーユの皿を渡してきた。
 ちょっ…ちょっと待てぇ!これって間接キスってヤツになるんじゃねぇのかぁ!?
 「…?スクアーロさん顔真っ赤ですよ?そのショートケーキ、アルコール入ってたんですか?」
 心配そうに顔を覗き込んでくる。
 ち…近い、近い!
 
 「いや…何でもない」
 「?ミルフィーユどうぞ。あ、ひょっとして、甘いもの好きじゃなかったんですか?」
 本気で慌ててる顔だ。
 慌てさせといて言うセリフじゃないかもしれないが、こういうときの顔はかなり可愛い。
 「好きじゃないけど…嫌いでもねぇなぁ」
 「そうですか!甘いもの嫌いだったらどうしよう、ってさっきかなり慌てましたよ〜」
 「それに…」
 「それに?」
 「好きなやつの誘いは断れねぇだろ」
 甘いものは
    好きじゃない
素敵企画に参加させていただき、有難うございました!
こんなモノでも、楽しんでいただけたら幸いです。      斎ノ川 イノリ
<如月様へ>
この企画に参加させていただいて、本当にありがとうございました!
=ヒロイン名です。変換よろしくお願いします!