このお話にはちょっと仕掛けがあります。
必ず、お名前変換をなさって下さい。
どんな市丸ギンでも受け入れる覚悟のある「市丸狂愛」の閲覧者の方は変換なしを試みていただいても構いません。
ただし、読後の批判はご遠慮ください。























─ 負けるゆうんは‘死ぬ’ゆう意味やぞ、


いつかそないなこと、言ったなぁ。
キミはそんなボクをどないな目で見てはったんやろ・・・・
今頃になって気になるんよ。





しゃあないわ・・・


ボク、もう何も見えへんのやもん、


ボク、もうキミを呼べへんのやもん、


ボクは・・・・・キミの心(なか)で死ぬんやから。


なぁ、ちゃん・・・!



全てを、見透かした様な瞳








降り注ぐ月光がボクの身体に幾筋の光が跡を残して、懺悔せよと叫んでるんやろ。
せやけど、ボクはそないに愚かやない、ちゃん・・・頭を垂れろと言われたらボクはきっとキミにする。


ボクがあのひとに着いて行くんは・・・キミが憬れてた、違う・・・そやない、キミが愛したおひとやったから。

なんで、ボクやないんやろ・・・
なんで、ボクはキミに抜刀されたんやろ・・・


一番、哀しい思い出。




ボクは知ってる。
あのひとの消えた隊首室で残された隊首羽織をそっと抱きしめて声を殺して泣いてたことも、
隊舎の文机の前にぼんやりと立ちすくんで頬に流した涙のことも、
そうや・・・あのひとを思って泣くキミをボクは何度も・・・何度も・・・・何度も・・・・見ていたんよ。


傷ついても傍にいたかったと言えたらどないに楽やったろ、たとえキミが信じなくても。
イヅルと仲ようしてはるキミ、十番隊のちっこい隊長はんに笑うキミ・・・全部全部、好きやった。





何処で間違ごうたんやろ、




ボクは・・・ボクはただ、ひたすらにキミを乞うただけやのに。





花飾りが揺れる可愛らし髪留めをひとつ買うたことがあったんよ、もちろんキミのために。
いつでも渡せるようにと、ほら・・・今もボクの袷に挟んであるゆうたらキミは笑うんやろね。



「お戯れが過ぎます、市丸隊長。」



そんな風に笑われるくらいキミを愛してた、それがボクの真実(ほんとう)。
そして、この手で殺してしまいたかったのも真実(ほんとう)。
もちろん、それは願わなかったんやけど。



あの時のキミの瞳の色を覚えてる、
忘れるなんて到底無理や。






あれはなぁ、全てを受け入れた瞳やった・・・ボクを見透かした瞳。






抱きしめることなんて、ついに無かったけれど・・・・
ボクがタカラモノのように優しくキミを抱いたなら、同じ瞳でボクを見上げてくれはった?






ボクの手で開花(ひら)くことの無かった蕾を他の誰かに大輪に花となって見せるんやろね。
その瞳をボク以外の誰かに向けるんやろ・・・










さようならや・・・
ボクは尸魂界(ここ)を去る。
失うことなど何も惜しくない、キミ一人を除けば。
二人にエデンなんか存在しないと・・・・ボクはもう認めたんや。








だから、・・・
ボクをキミの想い(こころ)のなかで死なせて。
それを、愛しさと思い違えてボクはこれからを生きる。






な、・・・・・・・・・・!!
最後や・・・名前を呼んでもバチは当たらんやろ。





─ 負けるゆうんは‘死ぬ’ゆう意味やぞ、





ボクはキミの、その全てを見透かした様な瞳にとうに負けてたんやねぇ・・・


                            Fin. 

 


「Epicurean.」さまへご笑納
             December, 2006  亜奏 夜






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デフォルトネーム:雛森 桃(ひなもり もも)