護りたいもの 笑っていてほしいもの 手を伸ばして 手に入れたくて 連れて行きたくて 「」 「ギンちゃん!こんにちは」 「こんにちは」 ちゃんとは同期で、同じ三番隊に入った仲のいい子やった。 最近他隊から移動願いが来て、ボクはどうしても嫌や言うたんやけど、 が「いいでしょべつに?」とけろっとした顔で言うもんだから 印押してしまった。 手放してしまったのだ 大切なもの ほら、手を伸ばせばまた取り戻せるのに どうしても手を伸ばせない自分がいた 触れたくて触れられなくて 護りたくて護れなくて 自分の傍で笑っていてほしいのに 手を伸ばせば届くはずなのに 手放してしまった 「なんやねん。ただの馬鹿かいボクは」 はぁーと深いため息をついた。 「どしたの急に。何か考え出したと思ったら出てきた言葉は自分への暴言?」 「ほんまに馬鹿やねんボク」 「知ってるけど、さ」 「なんやてこの」 の髪の毛をぐちゃぐちゃにしてやった。 ほら、触れられるんだ もうちょっとの距離なのに。 馬鹿や。 ホンマにボクはただの馬鹿や 臆病で ほしいものひとつ手に入れられない馬鹿なヤツや。 「そういえば私仕事中だったよ。これ三番隊に届けるんだった。はい、ギンちゃんv」 そういって手渡されたのはずしりと重たい書類の山。 「あとこれを届けておしまいだ。仕事終わったら、三番隊に行ってもいい? もうちょっとギンちゃんとお話したいな」 「ほんまに?ぜひ来てやvまっとる」 「うん、じゃまたね」 「ほな」 ずしりと重たい書類の山は にまた近づけたという幸せのおもさだった。 手に入れたい 自分のものにしたい でもそれができない自分 もどかしい 「あー・・・仕事嫌やァ・・・・」 「隊長、仕事終わりました。」 「イヅルゥー手伝ってやーおわらへんー」 「そうやってだらだらやってるからですよ!全く・・・」 そういいつつイヅルはボクの机のとなりに来て、貸してくださいと書類を取り上げ 隣の机でさらさらと仕事を始めた。 今は深夜。 まだは来てない。 「遅・・・」 「文句言わないでくださいよ」 「いや、イヅルにいったんやなくて・・・」 に。 遅すぎる 早く会いたい 「仕事・・・終わったら・・・言うたやん・・・」 ぼそりとつぶやいた。 あれからだいぶ時間がたち、もうすぐ夜が明けようとしていた。 「あれイヅルは寝てもーたんかい。しゃーない子やね」 そういって毛布をイヅルにかけ、執務室の外へ出た。 「んー・・・やっぱずっと部屋にこもっとると空気もまずなるなー」 ぐーっと背伸びをして、キョロキョロと辺りを見回す。 やっぱり、来ていない。 「嘘つき」 ぽそ、とつぶやいた。 「ギンちゃん」 後ろの方から声がした 振り向くと、がいた。 「。こないな時間にそんな格好で・・・」 は寝巻き姿でぽてぽてと歩いてきた。 「だって・・・」 「言い訳はなしやで」 ふわりと自分の羽織をかけてやる。 「あ、ありがとう」 「どういたしまして」 「だってね、ギンちゃんに会いたかったんだよ」 「・・・・・ならどないしてこないな時間にきたん?」 「あのね」 は全部話してくれた。 あのあと帰ったらたくさんの仕事が入ったこと。 それをやっていたらいつの間にか寝てしまって 急いでボクのところへきてくれたこと。 嬉しかった。 嬉しかった。 ただそれだけ。 ただただ嬉しかった。 「ギンちゃんこそこんな時間になにやってたの?」 「今までからもろた仕事やってたん」 「本当に?!時間かかりすぎ・・・!」 ふふ、と静かに笑う。 愛しくて、愛しくて でも 触れたら壊れてしまいそうで 「それと」 「ん?」 「が来てるかな思て」 にこり、と笑うとの頬が少し赤くなった。 「本当?」 「嘘なんか言わへんよ」 「ありがとう」 そうだ 夜の間、ずっとずっと考えていたこと そして実行したこと 全てに話さなければならない 「あんな、」 「何?」 「、明後日から三番隊に戻るで」 「どうして?」 「ボク移動願い書いたん。今日出しに行く」 「え・・・どーして?」 「そんなん決まっとるやん」 「え・・・」 「のこと誰にも渡したないん」 そういうとは顔を真っ赤に染めた。 「・・・それ・・・どういう・・・」 「わからへん・・・?」 それは これから 部下としても 自分の大好きな大好きな 護っていくものとしても 大切な、大切なものとして ついて来いと言う、事 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― アトガキ 上手くまとまっていなくてごめんなさい。 最後はイメージできても最初を書くのが苦手です。 聖様、ステキな企画に参加させてくださってありがとうございました。 |